るり子先生のあたまん中

最近の子どもの摂食事情

前回は、「いただきます」ってだれにいうの?
というお話をいたしました。
今回は、最近の子ども達の食事の内容や食事の仕方が
どんな風になってきているか、と言うことを少し書きたいと思います。

ずっーと昔から偏食という悩みは、あったと思います。
俗に言う「好き嫌い」ですね。
これは、大人でもありますよね。
全部の食材に好き嫌いがない、というのもなんだか不自然です。
ですから、あまり目くじらを立てることはしたくないなあ、
それよりも食事や給食が好きな子になってほしい、というのが、私個人の考えです。

でも、その「好き嫌い」があまりにひどくなるとちょっと問題。
たとえば、白いご飯しか食べない子。
お母さんが作ったご飯でないと食べない子。
野菜を一切食べない子、反対にお肉を極端に嫌う子。
こうなると栄養面でのアンパランスも気になってきますし、
何よりも私達が気がかりになるのは、
小学校に上がってから本人が苦労をするのではないか、ということです。

極端な偏食には、色々な原因が考えられますが、
おうちの方と偏食への方針がずれていては、子どもが被害者になりますから、
先生達にはまず、おうちの方の方針を確認し、3人4脚で頑張って頂きます。

以前、こんなことがありました。
どうしてもプチトマトが食べられないお子さんがいました。
色どりもきれいだし、一口で入るので、給食には時々出すのですが、どうしても食べてくれません。
当園は、出された食事は全部頂くという方針なので、
担任は、まず半分に切って半分だけでもと、がんばってもらいました。
すると、お母様が怒鳴り込んできました。
「うちの子がきらいな物を口にいれるなんて、児童虐待です!!!」
児童虐待は、ひどすぎる!!と頭にきて、
児童虐待と教育との違いを説明したという記憶があります。
それからは、親御さんとの息を合わせる事を大事にしています。
ただし、お母さん達もがんばってほしいですね。
たかが、プチトマトです。
でも、いやな物、いやな事にも挑戦させ、がんばれる子どもに育ってほしいのです。
それには、親御さんからの応援が一番の力になるんですよ。

その他、最近気になる子ども達としては、

  • しっかり噛めない子
  • 噛んだ食べ物を飲み込むタイミングがわからなくて、いつまでもモグモグしている子

などがいます。

又、朝ごはんを食べてきていない子もたまにいますね。
朝ご飯を食べている子と食べていない子とでは、
歴然とした学力の差が出ているデータもあるんですよ。
ですから、ある小学校では、朝ご飯を食べていない子用に、
保健室にコーヒー用のスティックシュガーを置いているとか・・・
あぁ〜 嘆かわしい〜 おにぎり一個でいいですから、食べてきてください。
ガス欠のまま幼稚園に越させないでね。

その他に、少し前から「孤食」という言葉がありますが、
最近では、この「孤食」の他に「粉食(原料が粉のやわらかいものしか食べない事)」や
「個食(家族が同じ献立を食べるわけでなく、個人個人の好むものしか食べない事)」
などもあります。
そして、この「個食」などは、少年犯罪にまで、つながっています。

そうそう、こんな話しが先日新聞に載っていました。
色々な事情で親の手で育ててもらえなかった子ども達や虐待を受けた子ども達を
自分の家でひきとって自立させ、社会に送り出している方がおられます。
この家には、みんなの「マイおはし」があるんだそうです。

健全なご家庭では、一人一人のお箸があるなんて当たり前のことでしょうが、
そういう境遇で育った子ども達には、「マイおはし」はなく、
コンビニのお弁当につていいるお箸しかありません。
でもこの家では「マイおはし」が毎晩、学校や仕事から帰ってくると待っていてくれます。
それだけで子ども達の心の傷が癒されていくようです。
その方の家には今までに巣立っていった何百人の子ども達の「マイおはし」が
いつまでも捨てられずに置いてあるということです。
「いつでもかえっておいで」って事をお箸は話しかけてくれているんですねえ。

バックナンバー一覧はこちら>>